HOEKが考える、シルクがもたらす生活の質。

原宿にお店を構え、雑貨や家具、服、はたまたアートピースやエコ商品まで取り揃えるライフスタイルのセレクトショップ「HOEK(フーク)」。機能、デザイン、遊び心等、様々な視点から選ばれた高品質なアイテムが揃うショップを運営する、大井夫妻は、シルクを普段から着ているのだとか。なぜシルクを選ぶのか、愛用のシルクと<THREAD,MOUTH AND THE MOON>との違いは何か。そんな疑問とともに、窓から入る自然光が気持ちいい、ご自宅にお邪魔しました。

 

Profile
大井智史(右)
2015年に「HOEK」をオープン。ユナイテッドアローズを経て、長野へ移住後、halutaでは商品のバイイングや店舗の立ち上げなどを担当。La kaguのキュレーションなどを行った後に、独立。

大井美代(左)
ユナイテッドアローズ、アパレルブランドのデザインなどを経て、2015年共に「HOEK」をオープン。環境保全へ興味があり、エコにまつわる資格を取得。

http://hoek.jp/

シルクを選ぶ人は、山に近くて、食に関心がある⁉



ー今はどんなシルクアイテムを愛用していますか?


大井智史(以下、智史):僕は、インナーものですね。肌着やタイツなど上下の下着などです。


大井美代(以下、美代):私は、メリノウール混のシルクの下着や、五本指ソックス、キャミソールなどです。


ーシルクの着心地はどうですか?


美代:着るとさらっとしてますよね。気持ちよく夏を過ごせるというイメージです。もともと日常的にシルクを着るようになったきっかけは「HOEK」を始めたことが大きくて、「心地良く生きる」というテーマをより深く追い求めた結果、感動するものとの出会いがあったからなんです。以前、長野の古い一軒家に数年間住んでいたことがあったんですが、極寒な上に自分自身が末端冷え性なので、機能性が伴った化学繊維の暖かい下着は必需品でした。でもシルクを着てみて、あっ、全然違うって。暖かいだけではない、冷えが吸い込まれて消えていく感覚がありました。蒸れもなく、心地が良かったんです。シルクは決して安くはないけれど、できれば子供の分まで全部それに取り替えたいくらい気に入ってしまいました。


智史:長野にいたときは、ある意味温かければいいというか…。でも30代も半ばという年齢や時代もあって、質の良さという点に興味が出てきましたね。お店で取り扱うことも視野に、シルクをはじめ、体にいいものを色々と試したいということで取り寄せたりしています。そんな中冬の定番となったスタイルが、重ね履きしても全く着膨れしない薄手のシルクソックスと、その上に重ねて履くメリノウールのロングソックスです。シルクソックスは薄手な分フィット感が良く、強度を増すためにナイロン糸も使われているんですが、そのお陰でヘビロテにも余裕のクオリティーです。あとは、僕はお腹が弱いのも大きいんですが、シルクの腹巻も必須です(笑)。どちらも、体がポカポカになります。

ーお店を通じて人に勧めるからこそ、まずはご自身で試しているんですね。シルクを着る人は、山登りや運動をたしなむ人が多い気もしていますが、どうですか?


智史:確かに自然に近い人には愛用者が多いイメージありますよね。食事に対して関心が高い人もそうですね。僕らも、長野時代はより健康志向が強くなっていましたからね。自然の中に身を置くと必然的にそうなったというか、水も美味しく、新鮮で美味しい食材に恵まれる環境だったので、食材のもつ本来の旨味を日常で味わえる喜びは大きかったです。体調に合わせて家庭用精米機で玄米を浅めについたり、健康にきちんと向き合える生活は心地の良いものでした。あと、子供が生まれたことでも、口に入れるものに対しての意識は高まりましたね。



シルク=シャイニーは刷り込みかも。



ーシルクはオールシーズン使ってますか?


智史:シルクの五本指ソックスは冬暖かいだけでなく、夏は涼しいということらしいんですが、今のところ夏はまだ試していないですね(笑)。でも、是非次のシーズンは試してみようと思います。個人的には体を冷やさないようにインナーにシルクを着る事が多いので、主に秋冬に活躍しています。あとは、夏は例えばシルクのTシャツを1枚で着るんでしょうけど、シルク100%だとツヤ感、テカリがあるだろうから、ちょっと躊躇しますね。


美代:それはシルクの加工にもよりますよね。


ーそうなんです。シルクというと、光沢感のあるスカーフ等のイメージが一般的には強いと思いますが、<THREAD,MOUTH AND THE MOON>の場合は、シルク100%の生地は加工で調整したり、生地自体をコットン混にしたりして、見栄え、質感にもこだわってますね。

美代:確かに、シルクというとツヤ感は連想しやすいですよね。一般的にもフォーマルなイメージが強そうですが、冷えとり靴下なるものが世の中に出てきてからは、その機能性が一気に注目された気がします。個人的には子供の頃に熟年世代が優雅に着ているツヤツヤのシルクパジャマの印象も強いです。あれは相当に肌触りが良さそうですし、健康にも良いんでしょうね。この歳になった今、すごく試してみたいアイテムです。


智史:自分もそうですが、僕はインナーとして着る人が多いのかなぁと思います。1枚で、もしくはアウターとして着るシルクは少ないのでは?でも、前回の記事で池田さんが着ていた<THREAD,MOUTH AND THE MOON>の光沢感のある開襟シャツは、おしゃれな人がデニムなんかとサラッと合わせて着ているイメージです。あとは、普段メリノウールのTシャツも着るんですが、身幅が広いのが好きで、この服も同じく身幅があるのでいいですね。


ーシルクアイテムは、どう洗濯していますか?


美代:ネットに入れて、他と同じ洗剤で洗っています。乾燥機にはかけません。逆に、どうやって洗濯してますか?


ー同じですね。ラベルに手洗い表示があっても、ネットに入れて洗濯機にかけちゃいます。手洗いするかは生地次第ですが、その判断は経験がある故、ですけどね。



着る心地よさと着飾る楽しさ。



ーシルクは、メリノウールと共通する機能(放湿性など)があるんですが、違いはその肌触りなんですよね。全くチクチクしなくて、例えば皮膚に疾患のある患者がシルク製の病院着を着ていたりもするんです。


智史:そうなんですね。でもその気持ちよさは、病気の方でなくても体験できますし、それにシルクを選ぶのは、着心地とか肌触りとかに強い関心がある人なんじゃないですか。

ー心地よく過ごしたいという気持ちは、今の時代にますます強くなっている気もしますね。


智史:はい。シルクの凄さは、今の時代だからこそ伝わる部分はあるかなと。安くはないけど、心身ともに心地よさを与えてくれる良いものとして。


美代:ファストファッションはそれはそれで助けてもらっている部分もありますが…。


ー「HOEK」は、コロナを境に意識が変わった部分はありますか?例えば環境に対してとか。


美代:そんなに変わってないですね、というのも以前から意識している問題なので。でも、世の中のそういう意識は高まっている気がします。そもそも環境問題に関しては、地球規模で大きな危機が叫ばれている昨今です。社会のあり方が問われ始めたことは必然の様にも思えます。もはや、環境問題に対しては、地球規模での規制やルールづくりなど、巨大な力が必要不可欠だと個人的に感じていて、この未曽有の危機を乗り越えた暁には、社会全体が少しでも良い方向に転じてくれたらなぁとは思っています。ただ、私たちひとりひとりが出来ることだってまだまだ沢山あるんですよね。水質汚染問題ひとつをとっても、家庭排水の占める割合はとても大きいんです。汚水の排水量を少なくする努力も必要ですが、排水する水質を少しでも生分解性のあるものに変えていくことも大切です。例えば、エコ洗剤も存在しますが、物によって基準も機能も様々です。エコ具合を見極めることもとても大切ですし、一般家庭への普及に関しては、価格が割高であることも課題です。うちでも昔から色々と試していますが、今愛用しているシャンプー類は石鹸の形状なので、パッケージが紙だったりとプラスチックを毎回ゴミに出さない点も気に入っていて、コスパも良い。使い心地も気に入っているので、今後販売も検討していきますが、そういった環境に配慮した製品をお店を通じて体験してもらい、少しでも輪が広がればそれは意味のあることだと思っているんです。「HOEK」は心地良いライフスタイルを提案していますが、明るい未来も同時に大きなテーマです。私たちがやりたいことは、そういうところも大きいですね。


智史:そういった方向性は大事にしつつ、他にも、機能性を伴ったデザインのプロダクト、単純に美しいと感じるもの、心震えるアート、体に優しく美味しいフードまで、僕らが「HOEK」を通して広く知ってもらいたいものをジャンルレスに提案させて頂いています。

美代:エコなものだけじゃなく、そこは、うまくミックスして私たちならではのお店にしていきたいですね。だって、喜びを感じることって生きる上ですごく大切じゃないですか?人生生きていれば、だれしも色々ありますよ。辛く悲しいことだってあるんだから、時にはちょっと贅沢があってもいいと思いませんか?自分のことに余裕が生まれ、きっと優しさにも繋がります。所有することで心が満たされることだって素敵なことだと思っています。それを目標にするのもいい。大切な人に、ちょっと気の利いたものをプレゼントするのなんて最高ですよね。まぁ、理想を口で言うのは簡単なんですけど…(笑)。私たちも日々自問しながらも、いい気が漂うお店を目指していきたいです。

ー服や雑貨などいろいろなものを見ているお二人からみて、<THREAD,MOUTH AND THE MOON>の服はどうですか。


智史:ファッションと機能とのバランス感がいいですね。ファッションの汲み取り方と素材の生かし方が、今の時代にフィットしている感じがします。


ー最近の服選びでは、どんなことを大切にしていますか?


智史:素材については以前より絶対的に重要視していますね。ある程度価格が高くても、肌に触れるインナーからアウターまで。

美代:かつては、アウターに比べてインナーはなんでもいいかなと思ってたんですけど、最近はその機能の重要性も痛感しているので、インナーはインナーで大事にするようになりました。昔は、ファストファッションやコレクションブランドを着て楽しんでいたけど、今は流行に左右されないシンプル、且つ上質なもの、そして体にいいものを着ている気がします。実際は子供がいるので、服の組み合わせを考えたり、ファッションを楽しむ余裕がないというのもありますけど(笑)。自分のスタイルをこうと決めて、心地よいものを長く着続けるというのも、これはこれでいいなと。一方で、ファッションを楽しんでいる人を見ると、それも大切だと感じます。


ーなるほど。コロナで、部屋で過ごす時間も増えてますよね。部屋着はどんなものを着ていますか?


智史:着ていて気持ちのいいものですね。実は、「HOEK」を始めるときに、最高のパジャマを作ると告知してたんですよね。まだ実現できずに数年たってますけど(笑)。理想は、ルームウェアのようなパジャマのような…。今回、シルクの話を聞いて、シルクのパジャマ作りたいなと思いました。


ーいいですね。何かご一緒に作れるといいですね。



左 Front button Body Suites ¥57,200(税込)
右 Sweat Shirts ¥40,700(税込)
(どちらも智史さん着用)



HOEKが考える、シルクがもたらす生活の質。